AI情報時代とどう向き合うか?一橋大学での講義
先日、一橋大学で行われたセミナーに参加しました。講師は、ドイツ・ブレーメン大学のアンドレアス・ヘップ教授。テーマは「デジタルな未来の姿-あるいは、なぜ我々は帰結の視点から発生の視点へと移行する必要があるのか」でした。
ヘップ教授は、私たちが「デジタルな未来」と呼ぶ社会の構想は単なる空想ではなく、実際に政治・経済・文化に影響を与えていると強調していました。その未来像はパイオニア・コミュニティと呼ばれる先駆的な人々によって形づくられ、やがて社会全体に広がっていく。ジャーナリズムにおけるAI導入の事例はその典型で、試験的利用から短期間で業界の中心に定着した過程が紹介されました。
特に印象的だったのは、「未来はあらかじめ決まっているものではなく、私たちがどのように望み、どのように選ぶかによって形づくられる」という指摘です。だからこそ、未来像がどのように生成されるのかを批判的に理解することが欠かせないと結論づけられました。
講義の最後には、有難いことに私の質問にも答えていただきました。私はこのセミナーに先立ち、「政治に関するフェイク情報をどう見抜くべきか?」というテーマで行われた有識者や政治家による討論会に出席しており、そのときの議論を交えて質問しました。
それに対してヘップ教授は、「政府からも市民からも独立した完全第三者の調査機関を設立すべきでしょうね」と返答してくださいました。私はこの意見に強く賛同します。しかし一方で、日本における現状は、ファクトチェックを担う企業がすべて現与党によって選定されていると、某有名ジャーナリストから指摘を受けたこともありました。これでは本当に中立的な情報精査ができるのか? 情報に敏感な層の間では大きな懸念として共有されています。
今回のセミナーを通じて、デジタル社会の未来像は単に技術だけの問題ではなく、情報の信頼性や民主主義の基盤に直結していることを改めて痛感しました。未来を「与えられるもの」として受け入れるのではなく、「自ら構築するもの」として主体的に考える姿勢が、今まさに求められているのだと思います。
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