日本で法的措置を行う難しさ①

筆者は、すでにアメリカで法的措置を10代の頃から経験しているので、細かい点を挙げれば簡単なエッセイ(論文)が書けるほど、実体験を通して日本の法的措置の煩雑さを知っている。(ちなみにアメリカでの法的措置の経験は2回ほどで2回とも日本人からしてみたら驚くほど簡単な手続きで慰謝料まで無事に支払わている)

まず、初歩の初歩である、「良い弁護士の見分け方」である。

ここがすでに日本国内では大きな壁となる。

筆者がアメリカで弁護士を見つけた時はどうだったろうか?

一番シンプルな答えは「プロボノ弁護士制度が整っているか?」だった。

特に筆者が育ったNYはアメリカでも弁護士激戦区であり、腕の良い弁護士は星の数ほど居る。

その中で次にこれは国レベルの違いで大きいのが「プロボノ弁護士制度」である。プロボノ弁護士とは日本ではあまり馴染みの無い言葉だが一言で言えば「完全成功報酬型」の弁護士である。

この制度を話すと必ず、日本の弁護士は眉をひそめて嫌な顔をする。そりゃそうだ。ただたんに座って書類を読んで、大した内容じゃないのにもったいぶった仰々しい法律用語と弁護士文法(揶揄のつもり)を書いてりゃ、依頼人からお金をたっぷりもらえるなんて楽な世界じゃない。

はっきり言うが、日本の弁護士でまともに弁護士としての機能を果たしている人口は果たしてどのくらいだろうか?

このプロボノ制度の表裏一体の部分がこの弁護士能力を測る上で、かなり重要な背景となるのだ。プロボノで食べていける弁護士は実践力が身についており、信頼できるという一つの指針としているアメリカ人もかなり多かった。

一部ではプロボノで稼げない弁護士は単なる「学歴弁護士」と呼ばれ、学歴が良いだけでネームバリューの高い弁護士事務所に入りコーポレート専門などの書類作成ばかりを行い、戦う力に関しては即戦力など無いとみなす一般人もいるほどである。

残念ながら日本は弁護士というとこのタイプが圧倒的に増えており、現状「弁護士」資格保有者の中で一般人がイメージするような正義のために一つずつ一つずつ証拠を丁寧に積み重ねて法廷で論破、なんてことはほぼ皆無である。(そもそもたまにコラムなどでも見るように日本の法廷はおままごとのように拍子抜けするほど無意味なものにさえ思える)

とにかくアメリカ人から口を酸っぱくして、何度も「プロボノを探しなさい」と言われた。「お金を請求されたらすぐにその弁護士事務所から出てくるのよ!」とアドバイスされたことは一度や二度ではない。

まず生まれて初めてアメリカで弁護士事務所の扉を叩いたのは17歳の時だった。

すでに英語にはそこまで不自由していなかったので専門用語が分からなかったときの場合に辞書を片手に訪れた。これにはアメリカ人弁護士も感心してくれた。

この話をすると多くの日本人は「アメリカは十代の子供にまでこんな想いをさせるのか」と否定的な意見が多かったが、筆者自身はこの言葉の人権意識の低さが逆に怖かった。

当時、筆者が大きく感動したのはたとえ17歳という未成年であっても、きちんと「一個人」として尊重してくれる土台がすでにあるというのを実感したからだ。

今から思えば、日本が世界に取り残されている大きな要因の一つである、この「人権意識の低さ」も深くは法的意識と密に繋がっていると思わずには居られない。

まず、「まともな弁護士」を見つけるだけでも一苦労なのだが、さらにやっと弁護士に巡り合えたとて、その先この国の裁判所がどのような場所であるかを実体験として知るには当事者になってからでは遅すぎるのである。

それがこの国の一つの闇ではないだろうか。

まだ手に取ったことが無いが、最近やっとそれら司法の最高峰である日本の裁判制度に関しても疑問を呈する声が記事になり始め、一般国民もその実態を知る機会が増えてきているように思う。

当事者になってからでは遅すぎるこの国の実態は国民であれば知っておいて損はないだろう。

日本の裁判官に“もはや良心はない”…裁判官の良心を踏みにじり「奴隷化」してしまう裁判所の恐ろしき実態(瀬木 比呂志)

裁判所、裁判官という言葉から、あなたは、どんなイメージを思い浮かべるだろうか?ごく普通の一般市民であれば、少し冷たいけれども公正、中立、誠実で優秀な人々を想起し、また、そのような裁判官によって行われる裁判についても、信頼できるものであると考えているのではないだろうか。しかし残念ながら、日本の裁判官、少なくともその多数派はそのような人々ではない。彼らの関心は、端的にいえば「事件処理」に尽きている。とにかく、早く、そつなく、「事件」を「処理」しさえすればそれでよい。庶民のどうでもいいような事件、紛争などは淡々と処理するに越したことはなく、冤罪事件などいくらかあっても別にどうということはない。それよりも、権力や政治家、大企業等の意向に沿った秩序維持、社会防衛のほうが大切なのだ。裁判官を33年間務め、多数の著書を持つ大学教授として法学の権威でもある瀬木氏が初めて社会に衝撃を与えた名著「絶望の裁判所」から、「民を愚かに保ち続け、支配し続ける」ことに固執する日本の裁判所の恐ろしい実態をお届けする。

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