この国が定義する「人権」とは何なのか?

少し前に、当団体の代表も通っていた伊藤塾にて素晴らしいご経歴をお持ちの江島晶子教授による「人権」に関する講義に出席して参りました。

(奇遇なことにその日は衆議院議員、参議院議員、法務大臣政務官などを歴任された元議員の方と現役議員の方、経済評論家の方達ともお会いした日であり、ちょうど奇遇にも江島教授の講義の前に上記の議員さんとはまさに「人権について」の話をしてきた日だったのです)

江島教授の講義は兼ねてより楽しみにしていた講義で内容にはとても満足いたしました。

しかしながら、一番重要なのはそれらの「人権意識」がこの国でどこまで一人一人の国民に根付いているか?なのです。

私は元々、海外でのバックグラウンドが長く、アメリカ、ヨーロッパと10代から30代近くまでを過ごしてきました。

そんな中で、一番ショックだったのは日本に帰ってきてからの日本人に対するこの国の扱いです。

既に10年以上前から私はこの国の司法機能不全を実感していて、たとえば身近な例でいえば労働基準法やハラスメントに関することなどです。(さらに驚くべきことなのは刑事司法なのですが、それはまた別の機会に)

まず、日本に帰ってきて驚いたのは「サービス残業」という概念や、「タイムカード」というシステムです。アメリカで働いていた頃は大手の証券会社勤務でしたが、タイムカードすらありませんでした。タイムカードは無くてもセキュリティーの入退出時刻は管理されています。しかし、日本で驚いたのはこれだけではありません。始業時刻が9時だとしたら、この国では10分前や15分前に来ることを期待されるのです。

しかも、それらは労働時間とはみなされません(現在はこの辺りも厳しくなったでしょうが、それもここ最近のことでしょうし、今でも古い社風や体質のところは変わっていないでしょう)。

そして、始業時間より前に来なかったことで苦情を言われたり改善を要求されたりするのです。そこに対して口答えをしようものなら、問題児として見られることも珍しいことではありません。このように、ごく身近な例えで言うのであれば、生きていく上で切っても切れない関係にある「労働環境」においてもこの国では人権は軽んじられています。

さらに、当団体にも多くの声が寄せられているのが深刻なハラスメント被害です。特に最近のセクハラは「セクハラ」では済まない声が届くこともあり、これは女性がやっと声を出せる時代になったからなのか、昨今のメディアでもずっと触れられてこなかった女性の深刻な職場環境に依存する性被害が取り上げられるようになったから、声を上げるようになったのかは分かりません。

恐らくフジテレビの問題にしてもかなり以前にも他のテレビ局でも似たトラブルが報道されていたように長きに渡り行われてきた深刻な女性達の性被害であり人権侵害だと思うのです。

さらに、やっと最近になり「人権」という言葉が聞こえるようになったかと思えば、今度は深刻な人権被害は当団体でも今後特に力を入れていきたい「司法との問題」です。

「警察に行けば一安心」そう思っている国民は実に当たり前ながら殆どの人が思っているでしょう。

しかし警察に被害を届けてまず被害者が対峙するのは「被害者としての人権がない」ことです。当団体には実体験に基づいたそれらの声が多数寄せられています。

そこからさらに、進んでやっと刑事事件なり民事事件で法的措置を進めようとすれば、アメリカではごく普通に進められる法的措置が、今度は依頼する弁護士の質に大きく左右されるという実態。私は日本での弁護士探しの苦労はアメリカ育ちからしてみたら異常に思えます。

実際当団体の元にも良い弁護士が見つからない、という声はとてもよく聞きます。

昨今、あらゆる著名人からの性被害やセクハラ被害が「告発」という形で社会を賑わしていますが、それは裏を返せばこの国での司法での解決法が不十分だからではないでしょうか?

私が毎回、被害者と会って一番強く感じること。

それは「この国の人権はどこにあるの?」ということです。

前述した通り、私はアメリカでも複数回法的措置を10代の頃より行ってきており、日本でも簡単な労働基準監督署での申立や国との裁判において本人訴訟なども行ってきましたが、犯罪被害者となって初めて知ったのは、外国人として生きてきたアメリカよりも、母国であり国籍もあり、ルーツも持っているこの日本で日本国民である私は自分の人権に関して考えなければならない程、この国の人権意識はとても低いということです。

アメリカに居た頃は「当たり前に与え手られていたもの」だったので、警察に行ったときも被害を訴えた時も、一切「自分の人権とは?」など考えたことが無かったのです。

それが、日本に帰ってきてから「この国の人権とは?」と考える機会が年々、増えていくのが不思議でなりません。

この人権についての話は当団体としても切っても切れないところにあり、これから長きに渡り出てくる言葉だと思います。


NPO Don't Cry's Ownd

犯罪被害者が泣き寝入りをしない社会に! 法人設立を目標として、犯罪被害者にとって有益な情報交換の場や、被害から立ち直り少しでも健全な日常生活が送れるようサポートを出来る団体を目指しています。

0コメント

  • 1000 / 1000